本当に年齢は性別と同じ位置づけをしてもよいものなのだろうか。
言い換えれば、人生のあらゆる局面で年齢を目安に生きている日本国民に、この「割り切り」を捨て去る覚悟はあるのだろうか。
人権問題としてのエイジフリー人間を、個人としてみるのではなく、その人が属するカテゴリー、一定の属性に基づいた「割り切り」によって判断する。
性別や人種についてそれをすることは、現代社会では基本的には好ましくないとされている。
では年齢はどうなのか、エイジフリー社会のあり方を考えていくと、結局この問題にぶち当たることになる。
要するに、前でも少し触れたが、エイジフリーは単なる雇用の問題ではなく、人権問題でもあるのだ。
アメリカのように、雇用における年齢差別禁止法を制定し、定年制や募集・採用時の年齢制限を違法とした上で、エイジフリー社会を目指す。
これは要するに、年齢差別を、人種差別や性差別などと同様の、社会的に許されない、人権を侵害する「差別」と位置づけるということである。
「人権」というとなにか絶対不変なものというイメージがあるが、実際にはその範囲は時代とともに変化してきた。
現在では人を物のように売り買いすることはけしからんと誰もが思っているが、「自由の国アメリカ」でさえかつては奴隷制を実施していた。
職場での男女差別は男女雇用機会均等法ができるまでは別にそんなに悪いこととは思われていなかったが、現在ではそれが「いけないこと」であることについて(少なくとも表向きは)異を唱える向きはない。
そして現在、年齢差別にまで「人権」の範囲を拡大すべきではないか、という議論をする時期がやってきたということなのだろう。
定年制や募集・採用時の年齢制限のことだけを考えていたが、結局それは年齢差別を人権問題ととらえるかどうかという問題と完全には切り離せないのである。
実はこの議論は実際にすでになされている。
そしてそこでは、とりあえず年齢差別は人権問題ではない、ということになったようだ。
まさに人権保障のために準備されたに違いない人権擁護法案(2002年国会提出、各方面から強い反対を受けて2003年廃案)は、「人種等を理由としてする不当な差別的取扱い」を広範に禁止するという内容であった(法案3条1項一号)。
ところが興味深いことに、この「人種等」は、「人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向」と定義されていた(同2条5項)。
そう、「年齢」は明確に除外されていたのだ。
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